手洗い洗車を丁寧にしているのに気がつけば、いつのまにやらボディに傷が目立つようになってきます。
傷を消す方法やキズの修理は、まずキズの種類から対処方法を考えてみる必要があります。
キズの種類は、その形や深さからこすり傷・洗車傷線傷・飛び石キズ・いたずら傷・凹み傷・ドアノブの傷ヘアースクラッチ(曲線キズ)など呼び方を上げるとかなりの種類になります。
ここでは、3つの対処方法を取り上げてみました。
まず、最初はDIY商品を活用した傷消す方法です。
一般の方が、ご自分で簡単に安くできる傷消しDIY商品には、傷消しクリーム・傷消しペン・エアータッチ・傷消しシートタッチアップペイントなど種類も多くあります。
傷消しクリーム・傷消しペン・傷消しシートは、だれでも使いやすい商品ですが、補修跡が凹んで残ったり色合わせが難しかったりキズの幅よりも液がはみだしたりとそれぞれに難しい面もあります。
エアータッチは、風や直射日光が当たらない屋内での作業を忘れてはいけません。
どの商品にも一長一短ありますが、どのような傷消しや補修に効果があるものか考えてみましょう。
例えば、ボンネットの飛び石傷の塗装の剥がれた跡がさびるのが怖いだけに何とかしたいが
・ボンネット全部塗装を塗り直すことまでしたくない
・タッチペンで塗ると汚くなりそう
・飛び石補修の場合、保険が適用されるのか
など補修部分が小さくとも悩みが出てきます。
そこで、ご自分で修理をしたい方に参考となるのがソフト99さんの傷補修サイトです。
ご自分で修理したい方は、参考にしてください。
ソフト99 飛び石キズ補修キットについて
洗車傷消しを研磨剤(コンパウンド)で手磨き
もうひとつは、コンパウンドを使った傷消し方法です。
ひと昔前の塗装(2液型塗装)のホワイト系なら、失敗は少なかったかもしれませんが、現在の塗装を手磨きすることは、あまりお勧めできません。
その理由としては
(1)今の塗装膜が薄くてコンパウンドの手磨きではこすり方によっては、深い傷をいれてしまったり剥がすことになります。
(2)特殊塗装の傷消しの場合202や212のブラック塗装やスクラッチシールドセルフリストアリングコートなどの特殊塗装の手磨きは極力避けてください。
ご自分では修理せずアドバイスを受けることも含めてプロに依頼されたほうがよろしいと思います。
・ディラーのサービス課
・板金塗装専門業者
・磨きコーティング専門業者
などです。
ドアミラーやバンパーのこすり傷補修
こすり傷といっても、線傷・ひっかき傷・えぐれた傷によって、補修方法がかわってきます。
ご自分で補修ができるかどうか、やはりソフト99さんのサイトを、参考にしてください。
補修ナビ 99工房
ご自分ではむずかしいと判断された場合は、専門の板金塗装屋さんにご依頼されたほうが、安心だと思います。
一時期、設備を借りて経験者のアドバイスを受けながら素人の方が塗装を塗れるように技術指導してくれるサービスを提供するショップがありました。
いつの間にかなくなってしまいましたが、板金塗装はとても難しい技術で、職人さんによって同じ設備を使っても出来上がりに差が出るほど。
DIY商品のように簡単にはいきません。
凹みを直すデントリペアも大変難しい技術職です。
板金塗装の利用を決めるポイントとして
(1)まず、どのような傷に再塗装がピッタリなのか
(事故などの大きな凹みや塗装のハガレ傷を除いて)
(2)ディラーと専門ショップの仕上がりレベルと費用
例えば、「傷補修 板金塗装 」でウェブ検索すると口コミサイトも含めて、いろいろな情報が掲載されていますので、参考になるはずです。
注意点としては、値段だけで決めるのは避けたほうがよいと思います。
磨きによる傷消しは、すべてのキズに対応できるわけではありせんが、オリジナル塗装を保持することで下取り査定で不利になることがないメリットがあります。
ただ残念なことに、研磨剤を使った磨き(研磨)で塗装の傷消しだけを受けてくれる専門店が少ないことです。
その理由としては、時間がかかる割には磨きの料金が安いことがあげられます。
また、磨くことで塗装の耐スリ傷強度が低下して逆に傷が増えてしまったり、劣化のスピードが速まったりと塗装を削ることによる問題点があるためです。
ご自分で磨くには )
ダブルアクションやバフなどの道具を使いこなせる経験者でコンパンドの選択が正しければ、磨けると思います。
ただし建物の中での作業と特殊塗装を除くことが条件です
自動車塗装によって、磨き方が異なるため知識と技術がないと残念な結果になってしまいます。
依頼先は、板金塗装店かコーティング施工店に問合わせされることをお勧めします。
車の傷防止策
ボディに傷をつけたくない、これ以上傷を増やしたくない
そんな思いを叶えてくれそうな塗装保護としてご提案したいのが、次の2つの商品です。
・プロテクションフイルム(シート)/ラッピング
・ガラスコーティング
プロテクションフィルムもガラスコーティングも、ネット通販や施工専門店などから購入したり専門店に施工の依頼ができます。
ただ注意点として、傷防止といっても全く異なる商品です
プロテクションフィルムは、走行中の虫や小石また雨水を塗装に直接触れさせないことが目的。
ガラスコーティングは、光沢や艶さらに汚れ除去の簡便性のためにコート剤で塗装表面を保護するのが目的。
ただコート剤によっては、傷にたいして弱いものがあったり傷や水シミがつきやすいし商品もありますので、よく調べることをお勧めします。
どちらの商品もメンテナンスは必要になってきますがボディ全体の保護を考える場合は、プロテクションフィルムは高額な値段になりますので、よく検討されたほうがよろしいと思います。
処理前
塗装表面のこすりキズがわかるでしょうか。
(キズのタイプはAとBタイプ)
風景の写りもボケた印象ですね。
処理後
キズは消えボディカラーもよみがえり木の写りこみもはっきりと。
処理前
ヤクォーター部についてるキズです。
(キズのタイプはEタイプ)
処理後
ミガキ処理法だけでキズは見えなくなり、色ツヤも再現されました。
磨き処理はキズを消すだけに使われるものではなく、古くなった塗装の色あせや酸化塗膜を取り除くことにも活用されます。
年数経過に伴い、塗装表面にはいろいろなダメージが発生しているものです。
これらのダメージの修復にも、磨き処理が活用されているわけです。
処理前
塗装表面には、キズの他に虫の残骸や塗料の付着跡が。
白い直線ラインはこすった際、塗料が付着したもので、ハガレとは違います。
処理後
キズはもちろんのこと虫の残骸もきれいにサッパリ。
(虫の付着は放置時間が長いと、虫の酸によりシミができることも。
この時は補修は再塗装しかない。)
このように磨き処理でかなりのキズを消すことができますが、全てのキズに対応できるわけではなくやはり消えないキズもあります。
当ショップでお受けできる傷消し
○ボンネットの飛び石傷補修
○磨き(研磨)による傷消し
塗装表面を磨きすぎると、耐スリキズ性強度が低下し処理後に傷が増えてしまうことがあります。
このことを良くご理解のうえで、磨き処理で傷消しを希望されるか決めてください。
お受けできるのは、洗車傷やこすり傷が対象です。
(1)磨き範囲は、パネル1~2枚を限度にさせていただきます。
(2)傷の範囲(面積)と形状を拝見した上で、お受けできるかどうかご相談させていただきます。
※形と深さによっては、消すことが不可能なためです。
(3)弊社以外のコーティング施工車の傷消しはお受けしません。
※磨き処理した塗装表面に保護剤の塗布を容易にするためです。
(4)ボディ全体の磨き処理は原則お断りしております。
※理由としては、冒頭お伝えしましたように傷消しによる耐スリキズ性強度が低下するためで磨いたあとのボディは、傷が増えたりシミなどができやすくなるためです。
コンパウンドを使った傷消し実例です。
(1)実例
コンパウンドを手磨きではなくルペスというツールを使った傷消し作業です。
傷の消し方の説明 )
左フロンフェンダーに100円玉で、いたずら傷をつけられた跡ですが、厚みが1.7mmほどの100円玉で塗装表面をえぐりとった傷跡です。
まず、凹みの角をサンドペーパーで切り落としたあとコンパウンド磨いて傷の幅を狭くしたのが、下の画像です。
まだ、かすかな傷のラインが肉眼でわかりますが、磨き処理でできる限界になりました。
ライン幅が1.5mm程度なので、タッチペンによる補修は難しいため、お客様に傷消しワックスを塗っていただくようにお話ししました。
因みに料金は、パネル2枚で10,800円でしたがディラーの板金塗装の見積もりでは、20万円ちょっと。
(2)実例
フロンドアパネルの処理前(左)と処理後(右)を比べながらご覧ください。
さらに水研ぎとバフかけをすると逆に凹みができてトップ塗装がなくなりベースコート(中塗り)がむき出しになる危険が生じるためここで取りやめです。
(3)実例
最後にもうひとつ傷の説明です。
磨き処理では、消すことのできないケースです。
同じフロンドアパネルの上部についていたキズはコインではなくキーでつけたような傷跡で、完全に塗装が剥がれてしまっています。
塗装の断面で見るとDタイプの傷になります。
上塗装(クリヤー)が完全にはがれてしまい中塗装(ベースコート)まで、深くえぐれている状態になっています。
対処方法 )
このようなケースでは、DIY補修かパネル一枚再塗装しか解決方法がありません。
注意点としては、DIY補修では色が合いませんので、それが気になられるようでしたら費用が高くとも、プロの板金塗装業者さんにお願いされたほうが安心です。
最後にキズの種類(深さと幅)から消える傷と消えないキズの判断を取り上げてみます。
いっけん無数にあるキズも「形と深さ」から、ほぼ5種類に分けられます。
この図解は、かなり古い車の塗装のものですが、説明がしやすいため利用してみます。尚、近年の塗装断面図に関しては、塗装の仕組みを参照してください。
年代によって塗装の仕組みの違いが分かると思います。
早速、磨き処理を使ったキズ消しについて、説明をしましょう。
付着の原因はスーパーのパーキングで、ジーパンでこすられた時にできたもの。
ツメ先を塗装表面にあて、こすっても引っかかりがない程度の深さしかありません。
このようなキズの場合、十分に上塗り層(クリアー層)が残っているため、面積が広くとも磨き処理で消えます。高い費用をかけた再塗装は必要ありません。
雨の日や洗車でボディが濡れていると、見えないのが特徴。 いっけん、塗装(ボディ色)がはがれているように見える。 キズ幅があるけど、深さがなく浅い。
SS店でタイヤ洗浄用のブラシで洗車後、古く固くなったタオルで強く拭かれてできたキズ。
画像では見分けが付かないほど、BとCのキズが入り乱れています。
磨き処理とキズ穴埋めを組み合わせることで、ほぼ肉眼では分からない程度までキズ消しが可能となります。ボディー全体となると、処理時間も費用もかなり高いものになりますけれど、それでも全面再塗装よりは費用が安くすみます。
Cタイプに似たキズに猫のツメ跡がありますが、キズ幅が狭く深いために磨き処理では、ほとんど消去することが難しいタイプのキズとなります。
何か固い物で強い衝撃が加わり、塗装の中塗り層まで食いこんでいます。
このタイプは、キズと言うよりもハガレの分類にはいります。一目でボディ色と異なるため見分けがつきます。
このようなキズは、磨き処理やキズ穴埋めで消すことが不可能であり、対処としてはハガレの面積が小さい場合はタッチペン補修や弊社で行っている『キズ穴埋め』の技術で対応することも可能です。ただ面積が広い場合は再塗装しか解決策が残っていません。
よく心配されるサビですが、中塗りと下塗りが残っている状態ですから、サビの心配はありません。
よく勘違いするのが、キズとハガレの区別。
このケースはボディ色が完全にハガレてしまい、中塗り層が出ています。
消すには再塗装しかありません。完全な状態にするには、パネル毎1枚再塗装しなければならず高い補修費になることも。
このタイプは、あきらかにいたずらによるキズ。
キズ幅がある割には、深さがないので小さな子のイタズラでしょうか?
いたずらに使ったものによりますが、キズ幅があっても浅く上塗りが十分に残っていますから、磨き処理と『キズ穴埋め』技術でキズを消すことが可能です。
東京の磨き専門店ビューティー106のこだわり
車のガラスコーティング施工は、塗装の下地処理とコーティング処理で完成しますが、その仕上がりの良否はコーティング材よりも塗装の下地処理(磨きと肌調整)の技術レベルで決まります。
磨き処理に使われる道具類は、プロショップであれば多少の違いがあっても、それほど差があるものではありません。
では研磨した塗装の品質に差がでてくるのは、どうしてでしょうか。実は磨きに携わる技術者の性格と仕事に対する考え方が大きく左右します。
私が心掛ける下地処理には
塗装に向かって「今きれいにしてあげるからね」と、問いかけるような気持ちで磨き処理をおこなうようにしています。
この気持ちをつい忘れていると、磨きで仕上がった塗装表面が雑になっていると思えることがあります。
目的にあわせた2種類の磨き処理
磨き処理には、2種類の処理方法を使い分けていきます。
○研磨剤を含まない磨き処理
○研磨剤を使用した磨き処理
研磨剤を含まない磨き処理の目的
未塗装樹脂など研磨剤で磨くことができないパーツや塗装の肌調整などにこの処理方法が使われています。
厚みと弾力のあるバフとポリッシャーの回転速度を調整しながら作業をおこないます。
未塗装樹脂の下地処理と言えば、今までシャンプー洗車ぐらいしかなく汚れが残りましたが、この方法だと均一に処理ができるためムラがなくなり未塗装樹脂コーティングの品質UPにつながっています。
また研磨処理を終えた塗装の最終仕上げ(肌調整)にこの方法を用いることで、脱脂処理作業とあわせて塗装に透明感のある艶がうまれます。
研磨剤を使った磨き処理の目的
洗車傷の処理のほかに車のコーティングの下地処理にも研磨処理が使われます。
車の美しい光沢と艶は、塗装表面の下地処理とコーティング材の組み合わせで決まります。
傷んだ塗装の修復には、研磨剤をつかった磨き処理がおこなわれます。
研磨処理の解説につきましては、随時施工実績ブログでご紹介させていただいております。